アンフルラ−ジュ雑感 
アンフルラ−ジュ（冷浸法）は、アロマ関係の方はよく御存じだと思いますが、香り分子が脂溶性物質に溶けやすい性質を利用して、精油成分を集める伝統的な方法です。ラ−ド（牛脂や豚脂）の上に花などを敷きつめ、芳香成分をラ−ドに吸着させ、そのラ−ドからアルコ−ルを用いて芳香成分を抽出しますが、とても手間と時間がかかるので現在ではほとんど行われていないそうです。しかしこの方法は、化学的に考えると大変理にかなっています。香り分子は基本的に揮発性の脂溶性成分であり、油水分配係数が1以上の物質ですから（コラム2014-1-25）、ラ−ドのような油分（脂質）には大変吸着、溶解しやすいわけです。
実は、コラム（2014-7-2）で、シタバチが花の香りを自分の脂質に溶かし、脚のポケットにストックするお話しを紹介しましたが、これもシタバチが自らアンフルラ−ジュを実践しているといえます。化学の知識がなくても、経験からヒトもシタバチも香り分子を集め、利用する方法を考えついていたのでしょう。
アンフルラ−ジュをもう少し広い観点からみると、「移り香」ともいえます。移り香は、源氏物語にも記述され、古くから日常で経験する、香り分子の吸着、溶解現象です。日常生活で問題となった移り香事件もあります。数年前に、防虫剤の匂いが包装フィルムを通して未開封のカップ麺に吸着し、問題になったことがありました。現在では、「匂いの強い物のそばで保管しないで下さい」という注意書きが書いてありますが、考えてみると、即席麺は油で揚げてありますから、揮発性の匂い分子は、表面が脂溶性のカップ麺に大変吸着しやすいといえます（図参照）。
かなり前ですが、地下の配管からガスが漏れ、屋内にいた人が亡くなるという事故がありました。当時の都市ガスは、猛毒の一酸化炭素（無臭）を含んでいたため、有臭剤でわざと不快な匂いにしてありましたが（現在の都市ガスは一酸化炭素を含んでいませんが、ガス漏れ警告のため有臭です）、中毒死が起きた屋内からはガスの匂いが全くしなかった、というミステリ−事件がありました。
ミステリ−の解決には少し時間がかかりましたが、結果は、ガスに含まれていた有臭物質が、土の中を通過する過程で土の成分（酸化ケイ素他）に吸着して取り除かれ、無臭となったガスの一酸化炭素が部屋に充満したため、ガスの匂いがせず、ガス漏れに気がつかなかった住人一家が亡くなったのでした。匂い成分が吸着して起きた一種のアンフルラ−ジュ現象ともいえます。このようにアンフルラ−ジュは、日常生活でも様々な場面で起きうるといえます。(by Mashi)
実は、コラム（2014-7-2）で、シタバチが花の香りを自分の脂質に溶かし、脚のポケットにストックするお話しを紹介しましたが、これもシタバチが自らアンフルラ−ジュを実践しているといえます。化学の知識がなくても、経験からヒトもシタバチも香り分子を集め、利用する方法を考えついていたのでしょう。
アンフルラ−ジュをもう少し広い観点からみると、「移り香」ともいえます。移り香は、源氏物語にも記述され、古くから日常で経験する、香り分子の吸着、溶解現象です。日常生活で問題となった移り香事件もあります。数年前に、防虫剤の匂いが包装フィルムを通して未開封のカップ麺に吸着し、問題になったことがありました。現在では、「匂いの強い物のそばで保管しないで下さい」という注意書きが書いてありますが、考えてみると、即席麺は油で揚げてありますから、揮発性の匂い分子は、表面が脂溶性のカップ麺に大変吸着しやすいといえます（図参照）。
かなり前ですが、地下の配管からガスが漏れ、屋内にいた人が亡くなるという事故がありました。当時の都市ガスは、猛毒の一酸化炭素（無臭）を含んでいたため、有臭剤でわざと不快な匂いにしてありましたが（現在の都市ガスは一酸化炭素を含んでいませんが、ガス漏れ警告のため有臭です）、中毒死が起きた屋内からはガスの匂いが全くしなかった、というミステリ−事件がありました。
ミステリ−の解決には少し時間がかかりましたが、結果は、ガスに含まれていた有臭物質が、土の中を通過する過程で土の成分（酸化ケイ素他）に吸着して取り除かれ、無臭となったガスの一酸化炭素が部屋に充満したため、ガスの匂いがせず、ガス漏れに気がつかなかった住人一家が亡くなったのでした。匂い成分が吸着して起きた一種のアンフルラ−ジュ現象ともいえます。このようにアンフルラ−ジュは、日常生活でも様々な場面で起きうるといえます。(by Mashi)
( コラム )
日常生活でおきたアンフルラ−ジュ現象