バンジ−ジャンプは視力障害を起こす危険性も

2018-9-9 7:24 管理者:  Mashi

   以前、山梨県にある絶叫系アトラクションが豊富な遊園地Fランドに行った時のことです。乗り物の多くに年齢制限が設けてあり、やはり年配者には心臓や脳に大きな負担がかかるのだなと思い、結局コ−ヒ−カップだけに乗り帰宅しました。


   バンジ−ジャンプも好きな若い人には、そのスリルと爽快感がたまらないと思います。ちなみに私は高所恐怖症ですので、バンジ−ジャンプの映像を見るだけで心拍数が上がります。でも高いところから飛び降りる危険性はないのでしょうか。そして体への負担はないのでしょうか? 素朴な疑問です。


   調べてみると、実はバンジ−ジャンプでは大きな事故がいくつか起きています。落下事故についてはここではふれませんが、失明などの視力障害について報告した論文がいくつかあります。バンジ−ジャンプでは、一定時間逆立ちになり、息をこらえ、急激な加速、減速というかなりハ−ドな状況になるわけです。そうすると体に何が起きるかというと、上半身(胸腔内)および眼内の静脈血が急激に上がります。その結果、網膜の血管が破裂し、失明、視力障害が起きることがあるようです。


   通常の状態でも、呼吸を止めてりきむと、胸腔内の圧力が上昇します。これを運動に応用したのが、バルサルバ法と呼ばれる手技で、りきむ動作で呼吸が止まり、筋緊張が起こることで普段より筋力が発揮できる生理的な現象です。火事場の馬鹿力のように、想像以上に重たい物を持てたりしますが、心拍数や血圧は急激に上昇します。重量挙げで息を止めると、最高血圧が320mmHgまで上昇することがあるという研究報告もあります。運動などで胸腔内の圧力増加に伴い起きる眼の障害、出血は、「バルサルバ網膜症」と名称がついているくらいです。


   糖尿病が進行し、糖尿病網膜症を合併している患者さんでは、運動による血圧変動が網膜の血管に作用し、出血を引き起こす場合があります。また、増殖性の糖尿病網膜症のある患者さんでは、運動だけでなく日常の生活動作でも、息をこらえる、りきむ、重い物を持ち上げる、頭を下げたり強く振るような動作は、急激な眼底血圧の上昇を招くため、避けるように指導されています。もちろんバンジ−ジャンプなど論外です。


   やはり一定時間逆立ちのままになり、息をこらえ(胸腔内圧上昇)、急激な減速、衝撃が起こるバンジ−ジャンプは、眼の血管にかなりのダメ−ジを与えると想像されます。スリルと爽快感は素晴らしいかも知れませんが、眼底出血、視力障害が起きる危険性も考慮した方が良いかもしれません。(by Mashi)


参考文献:1) 中尾篤典、からだのトレビア教えます、羊土社、p.76 (2018)  2) H Mohammed J Hassan, et al., Ocular complications of bungee jumping. Clin Ophthalmol. (2012); 6: 1619–1622.   doi: 10.2147/OPTH.S33169
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バンジ−ジャンプはバルサルバ網膜症を起こす危険性あり
バンジ−ジャンプはバルサルバ網膜症を起こす危険性あり