ステーキハウス症候群とパンケ−キ症候群

2018-5-9 7:28 管理者:  Mashi

   皆さんは、ステーキハウス症候群やパンケ−キ症候群を知っていますか?私はこれらの名称を知りませんでした。ステーキハウス症候群は、ステ−キが好きすぎて毎日食べないと我慢できないという依存症のことではありません。パンケ−キ症候群もパンケ−キが大好きということとは関係ありません。では一体どういうことなのでしょうか。


   「豚肉を良く噛んで食べないと、つかえてトン死するよ」なんてダジャレを小さい頃よく言われませんでしたか?すみません、私のまわりの人だけかも知れません。さて、ステーキハウス症候群とはまさにこのことのようです。急いで食事をしたために、食道に食べものがひっかかった状態のことを言います。米国での医学的な俗称で、ステーキをほとんど噛まずに飲み込んで詰まってしまうことからこの名前がついており、胸骨の後ろに疼痛を訴えるため、急性心疾患と紛らわしいことがあるそうです。


   このステ−キハウス症候群について、岡山大学医学部の中尾教授がエッセイを書いています(レジデントノート2018年2月号掲載)。ある日、突然の胸痛を訴える50歳代の患者さんが救急車で運ばれてきたそうです。食後に急に胸の痛みを訴え、苦しがっていますが、会話もでき、呼吸や循環に異常はなく、バイタルサインも安定していました。しかし冷や汗がでたり、少し不穏な要素もあったので、急いで心電図と胸部X線検査、血液検査を行いましたが、特に異常はありませんでした。どうしたものかと胸のCT画像をとると、食道内腔に大きな腫瘍のような影があり、改めて患者さんに聞いたところ、夕食に大好物のステーキをかなり急いで食べたとのことでした。典型的なステ−キハウス症候群です。水を飲んでも改善しなかったため、内視鏡で胃に押し込んだら、嘘のようにすっきりと症状が消え、歩いて帰宅したそうです。ステ−キハウス症候群は、急性心疾患と紛らわしいようです。


   以前、「お好み焼きを食べた家族が蕁麻疹や呼吸困難などのアレルギ−を起こしたが、実はその原因は古い小麦粉に混入していたダニだった」、というニュ−スが話題になりましたが、パンケ−キ症候群とはまさにこのことです。保管状態の悪かったパンケーキのもと(小麦粉などの粉)などを食べることで、粉に発生したダニを知らずに一緒に食べてしまい、ダニアレルギーを起こす現象のことを指します。


   深刻な場合は、アナフィラキシーショック(激しいアレルギー反応で全身性のショック状態に陥る)を起こして死に至る危険性もあります。お好み焼き粉、たこ焼き粉、ミックス粉(ホットケーキ、パンケーキ、パウンドケーキ用など)などは、保存状態が悪かったり、長期間使っていなかったりすると、賞味期限内でもダニが発生してしまうことがあります。


   パンケ−キ症候群では、ダニに汚染された粉で調理されたものを食べたあと、発疹、かゆみ、鼻水、鼻づまり、下痢、嘔吐、吐き気などがあらわれたり、呼吸困難や動悸、激しい腹痛、顔面紅潮、意識低下などの重いアナフィラキシー症状を起こす危険性もあります。過去に粉モノを食べてお腹をこわした人の中には、パンケ−キ症候群だったのに、食中毒と誤って診断されていた例があるかも知れません。パンケーキ症候群を防ぐには、粉ものは開封したら密閉容器に入れること、そしてなるべく冷蔵庫で保管するのが良いようです。(by Mashi)


参考文献:Stadler J,et al:The“steakhouse syndrome”. Primary and definitive diagnosis and therapy.Surg Endosc,3:195-198,1989
コラム )
診断が紛らわしいステーキハウス症候群やパンケ−キ症候群
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