あなたの腸にすみつく真菌はどのタイプ?

2018-3-14 7:52 管理者:  Mashi

   これまで腸内微生物叢の解析は、腸内細菌を中心に行われてきました。当コラムでも腸内細菌叢について色々ご紹介してきました。最近では腸内細菌叢の乱れ(デイスバイオ−シス)と様々な疾患との関連について数多くの報告があります。たとえば、腸内細菌叢は肥満や糖尿病の病態に影響したり、炎症性腸疾患や関節リウマチなどの自己免疫疾患とも関連することが明らかになりつつあります。


   さて私達の腸管には、細菌以外のウイルスや真菌などの微生物もすみついていることが知られています。しかしながら、細菌と比較すると真菌の絶対数が少ないこと、細菌よりゲノム抽出が難しいこと、ゲノムのデ−タベ−スや解析技術が不十分なことなどにより、これまでは腸内真菌叢についてはあまり解析されてきませんでした。


   最近、いくつかの技術的な改良を行い、ヒト糞便から腸内の真菌叢を解析した結果が報告がされています。千葉大学大学院医学研究院と東京大学医科学研究所の研究者は、細菌に比較して硬い細胞壁をもつ真菌破砕にビ−ズ法を適用し、各種阻害物質の除去を同時に行いました。ゲノム解析には、真菌の18s rRNAを標的にして解析するのではなく、より詳細な解析が可能となる新しい方法を用いたそうです。ゲノムのデ−タベ−スも不十分であることから、独自のデ−タベ−スを作成して解析しました。


   その結果、健常な日本人14名の腸内真菌叢の解析から、大きく3種類の特徴があることが分かりました(図参照)。1番目のパタ−ンは、14名中2名に見られたタイプで、サッカロミセス・セレビシェ(酵母)優勢タイプでした。腸内真菌のなんと90%以上がサッカロミセス・セレビシェであり、それ以外の真菌は数種類以下でした。


   2番目は、14名中5名に見られたカンジダ・アルビカンス優勢タイプです。驚くべきことに、腸内真菌の95%以上がカンジダ・アルビカンスであり、それ以外の真菌は数種類以下でした。この常在カンジダは、体に良いことをしているのでしょうか、それとも悪いことをしているのでしょうか!?


   3番目は、14名中7名に見られた様々な真菌が検出される混合タイプです。ヒトにより主要な真菌は異なり、カンジダ・アルビカンス、トリコスポロン、ニホンコウジカビ、ガノダ−マ(健康食品でもある霊芝です!!)、サッカロミセス・セレビシェなどヒトにより異なっていました(主要な真菌の占有率は30〜70%)。また混合タイプでは、真菌の種類も多く、10種類も検出されたヒトもいます。


   このようにヒトにより異なる真菌叢は、健康状態や食生活とどのような関連があるのでしょうか? 腸内真菌叢と腸内細菌叢の相互関係はどうなっているのでしょうか? 1種類の真菌が優勢な理由やメリットは? 真菌叢の年齢や性別による違いや、真菌叢は安定、恒常的なのでしょうか? 腸内細菌と同様に、真菌叢の乱れは疾病と関連があるのでしょうか? 様々な疑問がありますが、腸内真菌叢の今後の解析の進歩に期待したいもので寸。(by Mashi)


参考文献:藤本康介、植松智、腸内真菌叢の解析. 医学のあゆみ、Vol 264, No 2, 180-181, (2018)
コラム )
ヒトにより異なる腸内真菌叢
ヒトにより異なる腸内真菌叢