色々な食品を食べると認知機能は低下しにくい:老化に関する長期縦断疫学研究から

2018-1-26 11:06 管理者:  Mashi

   日本の2017年における65歳以上の割合(高齢化率)は、27.2%と過去最高となっており、また2012年には462万人だった認知症高齢者も、2025年には700万人となり、65歳以上の高齢者の5人に1人(20%)になると推察されています。さらに軽度認知障害者を加えると、1300万人となり、なんと高齢者の3人に1人(約30%)が問題を抱えることになります。薬物で治せない現状では、認知症の発症リスクを低下させるためにはどうしたらよいのでしょうか。


   今までにも認知症予防の食材として、野菜、果物、肉や魚、乳製品さらには地中海食が良いとも言われています。おそらく様々な栄養素や非栄養素が、抗酸化作用や抗炎症作用を介して、脳の機能維持に良い効果をもたらしていると考えられます。しかしながら、日本人を対象とした認知症予防と食事に関する質の高い研究は、まだ少ないのが現状です。


   国立長寿医療研究センタ−では、愛知県の住民の方に協力してもらい、老化や老年病の予防法をさぐるための研究(老化に関する長期縦断疫学研究)を1997年以来20年も続けています。調査からは、認知症予防に関する食事要因として、青魚に多いドコサヘキサエン酸、乳製品に多い短鎖・中鎖脂肪酸、大豆製品などが有効であることが分かりました。反対に、総カロリ−摂取量に占める穀類摂取量の多い人は、認知症のリスクが上昇していました。


   日本ではかなり以前から一日に摂る食事バランスの目安として、「一日30食品を目標として食事をする」ということが言われてきました。これは、1985年に厚生省(現厚生労働省)が作った健康のための食生活指針の中で示されたものです。しかし、2000年に厚生労働省・農林水産省が示した新しい食事生活指針は、「一日30食品」に代わり「主食・主菜を基本に食事のバランスを」「多様な食品を組み合わせる」という表現になりました。しかしながら「バランス良く多様な食品を食べる」ことの健康効果を科学的に検証した報告は実はほとんどありません。


   そこで今回、国立長寿医療研究センタ−の研究陣は、色々な食品を食べること(食品摂取の多様性)と認知機能の関連を検討しました。地域在住の60歳以上の570人を対象に、食事秤量記録調査をもとに食品摂取の多様性をスコア化し、各人の認知機能も調べました。その結果、色々な食品を食べている人(食品摂取の多様性が高い人)ほど、認知機能が低下するリスクが低いことが分かりました。食品摂取多様性スコアが最も低い人達(146名)に比べ、やや高い群(143名)では認知症低下のリスクが32%低く、最も多様性スコアが高い群(144名)は44%も低いことが示されました。


   色々な食品を食べる人は、そもそも食や健康に対する意欲や知識が豊富かも知れません。また様々な食材を手に入れたり、自ら料理したりして身体や脳を常に使っているのかも知れません。このような食行動が認知症低下リスクに寄与している可能性もあると思われます(by Mashi)。


参考文献:Otsuka R. et al., Dietary diversity decrease the risk of cognitive decline among Japanese older adults. Geriatr. Gerontol. Int. (2017) 17(6), 937-944.
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色々な食品を食べると認知機能は低下しにくい
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