病院看護師による急性期患者へのアロマテラピ−効果

2017-7-24 7:19 管理者:  Mashi

   日本では、病院などの医療機関ではアロマテラピ−はあまり一般的ではないのが現状だと思います。それは、医師や看護師などの医療従事者の理解・関心が必ずしも高くない、慌ただしい診療の現状ではアロマテラピ−を行う時間や場所のゆとりがない、健康保険の適用ではないなど様々な理由があると思われます。欧米ではもっと積極的に行われており、病院看護師が関与する場合も少なくないようです。今回は、急性期の患者さんへ複数の病院の看護師が関わった、アロマテラピ−の有効性を報告している米国の論文をご紹介します。


   試みた症例数は急性期の入院患者10,262件で、その多くが女性(82%)と白人(87%)であり、アロマセラピーは、75%以上が吸入を介した投与でした。使用した精油は、ラベンダ−(主成分は酢酸リナリル、リナロ−ル他)、ジンジャ−(主成分はジンギベレン他)、スイ−トマジョラム(主成分はテルピネン-4-オ−ル、リナロ−ル他)、マンダリン(主成分はリモネン他)などです。患者さんの急性期における疼痛、吐き気および不安への精油治療介入の有効性を調べるために、各症状の変化を0から10段階の数値評価尺度(ユニット)を用いて判定しました。


   その結果、有効例が多かったのは、ラベンダー(49.5%)であり、続いてジンジャー (21.2%)、スイートマジョラム(12.3%)、マンダリン (9.4%)、およびブレンド精油(7.6%)でした。単一オイルの効果では、スイ−トマジョラム(主成分はテルピネン-4-オ−ル、リナロ−ル他)が疼痛を3.31ユニット引き下げました(95%信頼限界2.33〜4.28)。不安に対しては、ラベンダ−(主成分は酢酸リナリル、リナロ−ル他)とスイ−トマジョラム(テルピネン-4-オ−ル、リナロ−ル他)が同等の2.73ユニット引き下げることが確認されました。一方吐き気に関しては、ジンジャ−(ジンギベレン他)が平均で2.02ユニット引き下げることが明らかとなりました(95%信頼限界1.49〜2.55)。


   それぞれの精油は、他の症状に対しても有益でしたが、臨床的にも本来の用途に基づいた効果が示されたそうです。医師の多くは、アロマセラピーはプラセボ効果(薬物そのものの効能ではなく、心理作用によって症状が改善する状態)にすぎないと考えることが少なくないようですが、一定の効果を示すことは確実だと思われます。さらに言えばコラムでも御紹介したように、プラセボ効果自体にも大きなメリットがあるかも知れません(2017-1-9、脳内報酬系と免疫系の密接な関係:喜びや満足は細菌感染を撃退する!)。今後さらに多くの医療施設で、他の精油、投与量・投与方法、病態の異なる多くの患者集団で検証されることを期待しています。(by Mashi)


参考文献:Johnson JR et al., The effectiveness of nurse-delivered aromatherapy in an acute care setting. Complement Ther Med. 2016 Apr;25:164-9. doi: 10.1016/j.ctim.2016.03.006.
コラム )
北海道滝野すずらん公園のラベンダ−(photoed by Mashi)
北海道滝野すずらん公園のラベンダ−(photoed by Mashi)