唾液中のエストロゲン濃度を上昇させる精油

2017-6-5 13:25 管理者:  Mashi

   エストロゲン(卵胞ホルモンまたは女性ホルモンとも呼ばれるが男性も持っている)は、ステロイドホルモンの一種で生殖機能に関わるほか、循環器(心臓血管系)や脳・中枢神経系、免疫系、脂質代謝、骨代謝などからだの様々な機能を調整する作用をもっています。エストロゲン濃度が低下するとこれらの作用は弱くなり、さまざまな症状が現れたり、障害や病気が発症することもあります。たとえば加齢によるエストロゲンの減少と共に唾液腺の萎縮が起こり、その結果唾液分泌量が少なくなり口腔乾燥感を感じやすくなります。女性は更年期を迎えると、エストロゲンのレベルが急激に低下し、様々なからだの変調、症状を経験することが多くなります。


   さて、幾つかの精油は更年期症状を緩和する作用を有することが経験的によく知られています。たとえばクラリセージ、フランキンセンス、ゼラニウム、ラベンダー、ジャスミン、ネロリ、ローズオットー、イランイラン、オレンジ、ローマンカモミールなどです。ではこれらの精油は本当にエストロゲンの分泌を高めているのでしょうか? 最近長崎大学大学院の研究者達は、特定の精油により、閉経周辺期女性(更年期への移行時期)で唾液中のエストロゲン濃度が上昇する事を報告しています。


   血中のエストロゲン(主成分はエストラジオ−ル)は唾液にも移行し、唾液中の濃度は血中濃度と高い相関があります。従って、唾液中のエストロゲン濃度を調べれば、血中濃度の推察ができます。従って研究者達は、更年期症状の緩和に使われている上記10種類の精油を嗅ぐことにより、唾液中のエストロゲン濃度が上昇するか調べました。その結果、ゼラニウムおよびローズオットーの精油により、唾液中のエストロゲン濃度が上昇する事が確認できました。


   ゼラニウム精油は、いわゆる園芸植物としてよく見かけるゼラニウムではなく、ロ−ズゼラニウム(フウロソウ科)(図参照)から得られる精油であり、主成分はシトロネロ−ル(約30%)、ゲラニオ−ル(約20%)、ギ酸シトロネリル(約10%)です。鎮静、鎮痛、抗うつ、自律神経調整などに用いられています。ロ−ズオット−(バラ科)は、鎮静、抗うつ、多幸、ホルモン調整などに用いられ、シトロネロ−ル(約40%)、ゲラニオ−ル(約15%)、ネロ−ル(約5%)を主成分としています。


   精油による体調管理は、簡便に、必要なときにいつでも、またくり返しできる特徴、利点があるといえます。さらに精油とダイズ製品などの食品との併用は、より良い効果をもたらすかもしれません。精油の効率的な使い方(濃度や回数、間隔)、エストロゲンが増える作用機作、女性の更年期以外での効果、男性における効果など、今後の解明すべき課題に期待したいものです。 (by Mashi)


参考文献:Shinohara K. et al., Effects of essential oil exposure on salivary estrogen concentration in perimenopausal women. Neuro Endocrinol Lett. 2017 Jan;37(8):567-572.
コラム )
ロ−ズゼラニウムの葉と花(photos by Mashi)
ロ−ズゼラニウムの葉と花(photos by Mashi)