香り立つミョウガは物忘れの原因?

2017-1-3 9:31 管理者:  Mashi
 
   皆さんはミョウガが好きですか? 私はミョウガ、ショウガ、シソ、ユズなど芳香食材は大好きです。Aromakkoさんも好きみたいですね(コラム:ミョウガ栽培のアロマを楽しみましょう、2014-9-29)。ショウガ科ショウガ属のミョウガは、薬味として広く愛されている食材であり、現在ではハウス栽培により一年中手に入りますが、意外なことに食用として栽培しているのは日本だけだそうです。
 
   ところで、「ミョウガを食べ過ぎると物忘れがひどくなる」とか、「ぼける」、とかいう話を聞いたことがあると思います。そのような言い伝えのためか、ミョウガには鈍根草という別名も存在し、狂言の曲名にも用いられているそうです。しかし、「物忘れがひどくなる」という言い伝えには科学的根拠はありません。では、なぜこのような迷信ができたのでしょうか? その理由は、物忘れの激しかったお坊さん(現代の認知症かもしれません)のお墓からミョウガが生えてきたという説や、ミョウガは刺激が強い薬味なので子供にあまり食べさせないように親が言い出した、など諸説あるようです。
 
   現実には、ミョウガを食べるとむしろ脳の前頭前野が活発に働き、脳が刺激されている可能性があるそうです。頭がスッキリするのは、ミョウガに含まれているα‐ピネンという香り成分(マツやスギ、ヒノキなどの森林の香りにも含まれるさわやかな芳香)が、リラックスしながら血の巡りを良くするという効果を示すからです。α‐ピネンには食欲増進や消化促進、解毒などの効果も知られています。さらに、ミョウガにはα-ピネンやβ-ピネン、土の香りに似たグリーンノートを持つメトキシピラジン類などのほかにアルデヒド類、アルコール類など様々な香り成分や機能性成分が含まれています。
 
   最近韓国の研究グル−プは、ミョウガの熱水抽出物により神経成長因子(NGF)を介した記憶力改善作用が見られることを報告しています。NGFは神経栄養因子の一種であり、神経細胞の分化、増殖、シナプス形成や情報伝達を促進し、記憶形成や学習に関係することが知られています。ミョウガ抽出物を、ラットの海馬由来の細胞に添加すると、NGFの産生増強やNGF受容体の活性化などが観察されました。またシナプスを維持、強化する蛋白質の産生増強も記憶をつかさどる海馬で見られました。
 
   さらに記憶力を評価する行動実験においても、ミョウガは記憶力を改善させることが明らかになりました。物忘れやぼけの原因になると言い伝えられてきたミョウガですが、実は正反対の作用を示すようです。さらなる研究により、認知症の予防、改善をする食材として用いられる日が来るかも知れません。

   最後に余談を一つ。東京文京区に茗荷谷という地下鉄の駅がありますが、江戸時代にはその辺り一帯がミョウガ(茗荷)畑だったことに由来しています。ついでにもう一つ。茗荷谷の近くに駒込という場所があります。世界中で「Komagomeピペット」の名で知られる「駒込ピペット」は、約100年前に駒込(現在の都立駒込病院)で最初に作られたことに由来しています。(by Mashi)


参考文献:Hyo Geun Kim et al., Effects of Myoga on Memory and Synaptic Plasticity by Regulating Nerve Growth Factor-Mediated Signaling. Phytotherapy Research, 30, 208-213 (2016). DOI: 10.1002/ptr.5511
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